しばしば語られる事、特に某AM誌SV等が模型誌で語ることに
「飛行機モデラーは、単体で作るばかりで情景を作らない。 情景を作ることによってその機体の使われた背景や周りの場面が拡がる」
というものがある。
それは確かに、有る一面では正しいのだろうけど、一方的にそう言い切ってしまわれると非常に強く抵抗を感じる。
果たして、ベースを付けなければ、その機体の活動した戦場の気候や雰囲気の表現は、本当に出来ないのであろうか?
否
機体塗装や褪色の具合、或いは装備品で、熱砂のアフリカの日差しや、雨天悪天候の多い英国や北欧の気象、或いはその機体の任務を語らせることが出来ないだろうか?
例えば、脚周りに泥をこびり付かせ、褪色は控えめに、各翼前縁には細かな細かなスレハゲ傷を付け、爆弾を抱えさせることで、酷寒の朝鮮半島の急造飛行場から対地支援に出撃したことを表現してみる。
例えば、迷彩パターンをパネルラインでパッチワーク上に区切り、機体側面の排気煤を多めに吹いて、かつRLM75とRLM82の組み合わせで大戦末期の疎開先の工場で促成生産された機体を表現してみる。
機体をテーブルクロスの上に置いただけで、その機体の周りに1952年の朝鮮半島の飛行場なり、1945年春の東部戦線なりの情景を頭の中に思い浮かべることが出来るような塗装、ウェザリング、細部etc
どんな機体でもパネルラインに沿って毎回黒やスモークを吹いて、単純に面ににぎわいを付けるような、画一的な仕上げでは、それは到底望み得ないだろう。
熱砂のイラクでは、上面から強い日差しがあたり、主翼と、胴体背面、水平尾翼上面は色あせて白っぽくなるであろうし、これに対して垂直尾翼の側面や主翼付け根の下面側は相対的に褪色しないだろう。 胴体下面はまた、滑走路からの照り返しがある。
こういった、光の当たり方を考慮せずに360度全周から光が当たっているような発色で、一番光が当たって白化しているであろう主翼上面に黒々とスモークと墨が入るような仕上げで、光が感じられるだろうか?
機体に語らせる力が足らないのを、安易に情景で補うようには、したくはない。
機体に単体で語らせるには、もちろん、見る側にも一定の理解力が必要とされる。 だが、それでも機体を見るだけでそこにアフリカや朝鮮半島やヨーロッパの空気を感じて貰えるような、そんな機体を作りたい。
飛行機を、情景の中の一つの部品として、周りに色々語らせるのではなく、飛行機そのものに主役として語らせたいのだ。
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